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高見台パークタウン。
丸く高台の城跡を中心に並んだ住宅街。
木枯らしの近づいた10月。
その高台の公園で1台の自転車が駆け回る。
青い流星のような車体は空き缶を蹴飛ばして、
城跡を抜け出し堀にかかる橋を降り、
公園に向かう遊歩道へ向かった。
自転車は1台でなくそれぞれにバラバラに街に下ってゆく。
「兄ちゃん」
駆琉はついてくる弟に
ついてくんな!と怒鳴ったが、こいつが
今まで言うことを聞いたことなどない。
弟の風太は駆琉にいつもついて回る。
「1人ずつのほうが見つからないんだぞ」
「やだー」
駆琉は構わず階段を下った。
アクロバットにタイヤは手すりを滑って降りる。
弟の風太は降りられずに止まると悲鳴を上げた。
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