相田繭(あいだまゆ)

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相田繭(あいだまゆ)

『壮絶‼ 二十年前の「死の宴」。今年三月、最後の犠牲者の母親が死去。小学生三人の命を奪った凄惨な復讐劇の結末』 キオスクにぶら下がる過激な見出しも、もうほとんど人の目には留まらない。 二十年前。 取り壊し直前のアパートに、四人の小学生男子が肝試しに行った。 そしてそのうちの一人、相田信人(あいだのぶと)が行方不明になったのだ。 信人(のぶと)は他の三人からいじめを受けており、この事件は彼らのイタズラが何らかのトラブルに発展したものだと噂された。 信人の母親である相田繭(あいだまゆ)は息子を探すために話が聞きたいと、三人の子供と、その母親達を自宅に招き茶菓子をふるまう。 それを口にした子供達が突然苦しみ出し、母親達も身体の痺れに陥る中、相田繭は電話線を切断して逃走した。 携帯電話が無かった時代、母親達は目の前で苦しみ悶える我が子を見ていることしかできなかったのである。 翌日、息子が消息を絶ったとされるアパートの一室で縊死している相田繭が発見された。 相田信人が行方不明になってから、半年が過ぎた頃だった。
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