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アキこと佐倉秋文とバンドを組むにあたり、なかなか決まらなかったボーカル。
そんなとき、カラオケの隣の部屋で歌っていたところをナンパしたと言ってアキが連れてきたのが、青白くてガリガリの、影の薄い奴──中村暖人だった。
長めの前髪に隠れ気味の目は細い、所謂糸目というやつで、顔貌が整っていないわけじゃないのが余計に印象を薄くさせてる。
ギリギリ人の印象に残りそうなのは口から斜め下に向けてホクロが二つ並んでるとこ、か?
こないだまでギターとして参加させて貰ってたバンドのボーカルの山登さんは、なんというか「ザ・伊達男」って感じで太々しいほどに存在感のある人だったから、あまりにもギャップがありすぎる。
ボーカルに必須の歌唱力については、カラオケじゃあ上手かったらしいが、生演奏では歌ったことがないとかで、音はとれない、声量はない、カリスマもないと、とにかくお話にならなかった。
こいつじゃなくても他にもっとマシなのいるだろうと思うけど、アキがどうしてもと譲らない。
言い出したら聞かないからしばらく様子みるけど、時間の無駄としか思えねえ。
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