【 そばかす 】

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【 そばかす 】

 砂浜まで行くと、その少女はペシャンと力なく座り込んだ。  僕も彼女の隣で膝を抱えて座った。 「なぜ、こんなことを?」  両手で顔を伏せたまま、彼女は尚も泣いている。  この少女にも、きっと自分と同じように何かあったんだと思う。 「言いたくなければ、言わなくてもいいけど。もし、僕に話して君の気が晴れるのなら、聞かせてくれるかな?」  すると、少し泣き声が収まり、小さくうんと(うなず)いた。 「誰にも……、見られたくない……。自分の顔」  彼女は妙なことを言った。 「なぜ?」  しばらく黙ってから、顔にあった両手を静かに膝の上に下ろして口を開く。 「だって、こんな顔だから……」  僕はその少女の言っていることが全く分からなかった。  僕にはとてもかわいらしい少女にしか見えない。むしろ、母の若い頃の写真にそっくりで、とてもタイプだ。 「君はかわいらしいよ」 「えっ?」 「僕には君はかわいらしい女の子にしか見えないけど」 「えっ、でも、こんなそばかす顔でも……?」 「そばかす?」 「ここんとこ……」  彼女はそう言って、右手で自分の鼻の辺りを恥ずかしそうに指差した。
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