27人が本棚に入れています
本棚に追加
【 そばかす 】
砂浜まで行くと、その少女はペシャンと力なく座り込んだ。
僕も彼女の隣で膝を抱えて座った。
「なぜ、こんなことを?」
両手で顔を伏せたまま、彼女は尚も泣いている。
この少女にも、きっと自分と同じように何かあったんだと思う。
「言いたくなければ、言わなくてもいいけど。もし、僕に話して君の気が晴れるのなら、聞かせてくれるかな?」
すると、少し泣き声が収まり、小さくうんと頷いた。
「誰にも……、見られたくない……。自分の顔」
彼女は妙なことを言った。
「なぜ?」
しばらく黙ってから、顔にあった両手を静かに膝の上に下ろして口を開く。
「だって、こんな顔だから……」
僕はその少女の言っていることが全く分からなかった。
僕にはとてもかわいらしい少女にしか見えない。むしろ、母の若い頃の写真にそっくりで、とてもタイプだ。
「君はかわいらしいよ」
「えっ?」
「僕には君はかわいらしい女の子にしか見えないけど」
「えっ、でも、こんなそばかす顔でも……?」
「そばかす?」
「ここんとこ……」
彼女はそう言って、右手で自分の鼻の辺りを恥ずかしそうに指差した。
最初のコメントを投稿しよう!