泥棒猫

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 起きた。  腹が減っている。  何か食べなければ。  面倒だが仕方ない。寝所の日陰から出て身体を伸ばし、欠伸をし、程よくほぐれたところで日向を歩く。  どこに獲物がいないだろうか。  キョロキョロと辺りを見渡す。  手軽に飢えを満たせる小動物がいるなら楽だ。寝起きなのであまり激しく動きたくない。  起きたばかりであまり頭がはっきりしていない。歩きながら欠伸が出る。  しばらくウロウロしていたが、残念ながら都合良くいかないようだ。面倒だが仕方ない。目覚ましだと思って運動するか。  賑やかな場所へ行く。  人間達が大量に歩いている。  ここへは出来れば行きたくない。物好きな奴らが撫でて面倒だからだ。身体を碌に綺麗にしてないのに、よく触ろうと思う。たまに食べ物をくれるので飢えは満たされるが、こちらは何も返せない。なのに満足そうな顔をする。人間の考えていることは本当に分からない。  今日は構う人間がいなかった。せわしなく歩いて、チラッと見る程度だがそれまでだ。日が高いから別の場所に急いでいるのだろう。人間のルールは良く分からないが。  スムーズにいつもの狩り場に辿り着けた。  魚の沢山ある場所だ。人間が店とか呼んでいるところ。椅子とかいう物に座ってる、何か人間達とやり取りして魚を渡してる人間が空を眺めて動かないでいる。いつも通りの光景だ。寝てたら楽だったのだが、よく見ると目を開けている。  アイツは獲物を取ると追いかけてくる。身体能力に差がありすぎて捕まるはずなどないのに。そのせいで、こちらも全力を出して走らなければならない。無駄に動かざるを得ないので面倒くさい。  だが仕方ない。幸いにも、一番厄介な敵はこちらに気付いていない。油断している間に、食べ物にありつけてもらおう。
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