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真相
昼すぎに目が覚めた。
奏多兄はまだあたしを抱きしめて眠ったままだった。
何度も抱かれて、腰が重く身体がゆうことをきかなかった。奏多兄の綺麗な顔をずっと見ていた。
しばらくして、奏多兄が目をさました。
「咲茉おはよう」
私は急に昨日のことを思い出して恥ずかしくなった。
「お前もうここから出るな。またあの店で働く気だろ?お前1人でいたら危ないことがわかった」
「え?家に帰りたい」
「駄〜目。もうお前は俺のとこにいろ。あの時お前の希望どうり離れてやったのに、捕まったお前が悪い。
それにあんな所に猫の姿でいたら心配でしょうがない。お前はもう俺の」
「ハロウィンだから猫だったんだよ。いつもコスプレしてないよ。ここにいろって……あたしを猫として飼うの?」
兄は、それを聞いて笑った。
「馬鹿……。猫でいてもいいけどそれじゃお前服着ないのか?俺はそれでもいいけど……」
「裸?……嫌だ無理」
「お前は俺の嫁になればいいんじゃないの?ここで家事して俺に奉仕したらいいだろ?」
「え?」
私はびっくりして奏多兄が言ってることが、すぐに理解できなかった。
段々意味を理解しはじめ、嬉しくて信じられない顔をしている。
「嫌なの?お前男いるのか?騙されたくせにもういるのか……?いてもお前はもう俺のだから。お前はもう逃げられない」
抱きしめる腕は優しくて、兄の香水の匂いに頭がくらくらしてくる。
「奏多兄……好きな人いないの?結婚は好きな人としなきゃ……」
「ほんとにお前は……俺は昔からお前が好きだったよ。留学するか迷ってる時に、お前の両親に何で悩んでるかのか聞かれて、咲茉と離れたくないって言った」
「え!?」
咲茉は初めて聞く話だった。
「そしたらお前の両親から咲茉の事好きなの?って聞かれたから好きって答えた。
ずっと咲茉の側にいたいと思うなら、ピアニストとしてちゃんと確立してないと、将来、咲茉を守れないし私達も賛成できないって言われた。
だから、その為にもピアノ留学した方がいいって言われて俺も決心がついた。そして咲茉と一旦離れた。俺は必ず戻ってきて咲茉を奪おうと思ってた。
ちょこちょこ咲茉のお母さんと連絡とって、咲茉のこと聞いてたし。東京に行って彼氏いるみたいだって聞いたから、どうやって奪ってやろうか考えてた所に昨日あそこであったんだ。俺は運がよかった。
ただ……まさかあんな場所で猫の姿してるとか怒るに決まってるだろ」
「あたし……桃也とのこと見られたから嫌われてるかと思ってた。
それに奏多兄は雲の上の人だったし……だから、留学行く時も挨拶いかなかった。避けてた…。
離れようと思って……」
「お前が避けてたの知ってた……。
あれは、桃也が暴走したんだろ?あの時お前が逃げて帰った時に、桃也に付き合ってたのかきいたら、違うって言われてあいつを殴った。
未遂なんだろ?聞いた」
私はまさかの真相と予想外の愛の告白にびっくりした。
高校生の時に無理矢理押し込めた行き場のない淡い気持ちは、またふつふつどこからか湧いてくる。
嬉しさと恥ずかしさでなんだかふわふわした気持ちだった。
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