捕まる

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捕まる

奏多兄の家は、高層マンションの上層階だった。 1人暮らしにしては広いリビングで、ピアノがあり、 窓は大きい。そこからの光景は街の夜景が素晴らしく綺麗に輝いていた。 私がそわそわしているとソファーに座らされた。 奏多兄に理由を聞かれて正直に話した。 彼氏に騙されてお金がなくなったこと。会社にいずらくなってしまったこと。だから、仕方なく給料がいいクラブで働いていたこと。 奏多兄は両親になぜ相談しなかったのかと言ってきたけど、心配かけたくなかったから……というともう何も言わなくなった。 「何であたしだとわかったの?」 「お前のピアノどれだけ聞いてたと思ってるんだ!音聞けばお前だってことくらいわかる!」 ーーピアノの音か…すごいわ。さすがピアニスト。 「でもまさか、咲茉が猫になってるとは思わなかった」 「……!」 私は羞恥で顔が真っ赤になっていた。とりあえず、シワにならないようにジャケットは返した。 私は直感でこのままいてはいけないようなそんな気になっていた。 「じゃあ……あたしは帰ります。おじゃましました!」 帰ろうと玄関に急いで向かって逃げた。 奏多兄は勢いよく追いかけてきて、腕を掴まれ玄関前で捕まる。 「誰が帰っていいっていった?」 「もうあそこで働いてる理由言ったし、もういいでしょ?奏多兄には関係ない」 奏多兄は、玄関のドアに私の身体を押さえつけた。 両腕を捕まえ、荒々しいキスをした。 私の声にならない声が漏れる。 奏多兄のキスはお酒の味がした。奏多兄とのキスはいけないことをしている気持ちになり、身体の奥が疼いてくるようだった。 だんだん私の身体は奏多兄のキスで力が抜ける。 奏多兄は掴んでいた腕をいつのまにか離していたが、奏多兄のキスで倒れてしまいそうな私は、逆に奏多兄の腕を自分から必死に捕まえる。 奏多兄はそれをみて嬉しそうに目を細め意地悪な顔をした。
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