0人が本棚に入れています
本棚に追加
「……!!」
だが、少年は倒れなかった。
心が折れかけ、服従しようとした瞬間、頭に浮かんだのは姫のことだった。昔読んだ本に出ていたような、優しくて気品のある、雑草のような自分にも笑顔を向けてくれる、理想の姫。大変な訓練の日々を癒し、目標になった姫。あの人をずっと見ていたい、守っていたい。
その想いが、少年を奮い立たせた。
「うおおお……!!」
剣を力強く振り回す。周囲の敵を薙ぎ払う勢いの剣檄だ。
敵は怯んだ。可能性は感じていたが、まさかここまで来るとは思っていなかったからだ。
思わず後ずさる。その隙を、少年は見逃さなかった。果敢に立ち向かおうと、剣を奮おうとする。
最初のコメントを投稿しよう!