死という数字

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そのげんかつぎと似たようなもので、縁起の悪いものをなるべく避ける人も多いだろう。 たとえば、北枕とか、夜に爪を切る、とか、ご飯にお箸を立てる、など。 私の場合、げんかつぎはそれほどしないのだが、縁起の悪いものを避ける習慣がある。特にあるひとつのことを、徹底的に避けて暮らしていた。 それは四という数字だ。誰もが聞いたことはあるだろう。四という数字は、し、という読み方ができ、どうしても、死、という文字を連想してしまうから縁起の悪い数字と言われていることを。 きっと四という数字を避けている人も多いだろう。無意識のうちに避けている人もいるだろう。だが、私の場合はあまりにも過剰に四という数字に反応して避けてしまうのだ。 それはわりと昔からだった。子供のころからその数字を避けていた記憶がある。何か四という数字にまつわる嫌な出来事でもあったのか、それは今もって分からないのだが。 というわけで私がどれだけ四という数字を避けて暮らしているか、これから詳しく述べていきたい。 まず駅のロッカーは四という数字が入っているものは使わない。スーパーなどに行った時は四番のレジには並ばない。食パンは四枚切りより五枚切りを選ぶ。財布の中身は一円玉が三枚、五円玉が二枚、十円玉が三枚、百円玉が二枚など、同じ紙幣や硬貨が四枚にならないように常日頃、気をつけている。 それなのに何故なのだろう。この嫌な胸騒ぎは。何か危険が、災いが迫ってきているように感じるのは。 何かしら見落としたのだろうか。知らず知らずのうちに四という数字に関わってしまったのだろうか。記憶を探るが思い当たることはない。
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