死という数字

3/6
前へ
/6ページ
次へ
やがて勤務時間の終わりがきた。今日は残業がないのでそれは救いだった。嫌な胸騒ぎが気になって仕方ない。とてもじゃないが残業などする気になれなかった。 私は会社を出ると真っ直ぐ駅に向かって歩き始める。 歩きながらも今日一日、四という数字に関わっていないか、何度となく記憶を探る。しかし、思い当たることはやはりない。 それでも嫌な胸騒ぎがすることに変わりはない。決して気のせいではないはずだ。 とにかく外にいるより、家の中にいたほうが危険に遭遇する確率は少ないだろう。早く家に帰らなければ。 すると突然後ろのほうで、パーンという大きな音がした。 私は驚いて後ろを振り返った。すると男子高校生らしき人物がしゃがんで自転車のタイヤを調べていた。 パンクしたのだろう。私はほっとした。四という数字に関わったせいで白昼堂々、発砲事件が起こり巻き添えを喰らうのではないかと危惧したからだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加