死という数字

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駅を出ると自宅に向かって歩き出す。駅からだいたい徒歩十分くらいの所に自宅があった。アパートだ。私は独身、独り暮らしだった。 嫌な胸騒ぎはまだ収まらない。原因も分からずじまい。いつ、どこで四という数字に関わったのだろう。とにかく、もうすぐ家に着く。早いところ布団に入って眠りたかった。 そんなことを思いながら歩いていた時、いきなり前方で何かが上空から落ちてきた。ものすごい音が響きわたり、震動が足元から伝わってきた。 まさか隕石か。 周りの通行人たちも驚いて、そちらのほうを見ていた。 私も恐る恐る近づいてゆく。すると、それは隕石ではなく、居酒屋の店先に取り付けてあった大きな看板だった。鉄やプラスチックなどの部品で出来ており、人に直撃すれば即死だったはずだ。幸い怪我人すらいなかった。 私がもう少し早く通っていれば命はなかった。やはりだ。四という数字に関わった呪いだ。私を狙っているに違いない。
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