♯9

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「てかさ、由美ちゃんと俺がコーヒー飲みながらケーキ食べてるのって何か新鮮じゃない?いつもはお酒とつまみだし」 「確かに!服装とかも休日仕様でいつもと違うもんね!」 (そうだ、そうだ!やっぱりシチュエーションの違いに違いない!新鮮だからドキドキするんだ!) 蒼太くんの発言に、私は激しく賛同する。 この正体不明なドキドキの原因が解明されたような気がして嬉しくなった。 「たまにはこういうのもいいね。あ、由美ちゃん、こっちのケーキも食べる?違うやつも試したいでしょ?」 そういって蒼太くんは自分の注文した食べかけのケーキを私の前に差し出す。 実は紅茶フレーバーのシフォンケーキを私も気になっていたのだ。 「もしかして、あえて私と違うケーキ頼んでくれたの?」 「メニュー見てる時に由美ちゃんめっちゃ迷ってたしね。俺はなんでも良かったから」 なんて察しが良くて、そして細やかな気遣いをしてくれるのだろう。 私は驚きと嬉しさで、思わず蒼太くんを穴が空くほどじーっと凝視してしまった。 「蒼太くんの察しの良さは一級品‥‥!」 「そんなことないって。由美ちゃんは分かりやすいから見てれば誰でも分かることだと思うよ」 でもそれって蒼太くんが私を見ていてくれたってことじゃないだろうか。 そう思うと私の心は、にわかに浮き足立つ。 (ん?でも私はなんでこんなに喜んでるんだ?なんで蒼太くんに見ていてもらって嬉しいんだ??) また新たな疑問符が浮かび上がり、心の中の私は首を傾げた。 でも分からないことは一旦蓋をしてしまおうと、その疑問は見なかったことにした。 その後、私たちはケーキを交換してどちらの味も楽しみ、たあいもない話に花を咲かせ、休日の美術館で私は推し活を満喫したのだったーー。
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