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「へぇーー。広報ってそんなこともするんだ。ていうか、由美が仕事楽しいのは、推しがいるからでしょ?すぐ近くに!」
そう言って、テーブルの向かい側から会話に加わってきたのは、千賀子だ。
千賀子も利々香と同じく、社会人になってからも会う友達だ。
この3人で集まって女子会をすることが多いのだ。
千賀子はベリーショートの髪型が似合うボーイッシュな女の子で、某男性アイドルグループに推しがいる。
全国コンサートツアーで推しを追いかけるために日々働いてますと公言し、土日祝休みの企業で事務をしている。
「ふふふ〜ん。近くに推しがいていいでしょ?」
私は自慢げに胸を張って千賀子を見る。
千賀子はやや呆れながら、可哀想なものを見る目を私に向けた。
「ん〜。由美の推しを否定するつもりはないけど、変わってるからね。だって普通は、異性を推しにするもんじゃない。なのに、由美ってば同性のしかも会社の先輩を推しにしてるんだから、あんたって本当に変わり者よね」
「由美が変わり者なのには同感!同性を崇めてないで恋しなさいよー!彼氏いると幸せだよー??」
千賀子の言葉に、利々香が被せるように同意を示す。
そんな2人の言葉に私はぷうっと頬を膨らませて抗議した。
「変わり者で結構で〜す!何と言われようと私の推しは百合さんなんだもん!」
そう、私の推しは同じ会社の同じ部署の同性の先輩なのだ。
その名を、並木百合さんという。
千賀子の言うとおり、推しがいる人は異性のアイドルや俳優、アニメキャラなどが多いので、私のように同じ会社のしかも同性の人が推しなのは変わっているのだ。
ちなみに私は別に恋愛対象が女性というわけではない。
今まで好きな人がいたことはないが、恋愛対象は男性だ。
それもあり、なかなか理解してもらえない私の推しなのだが、それはもう素晴らしく素敵な人なのだ。
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