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♯2
あのサークル飲み会から数日後の、10月半ばのある日。
朝出社すると、私の推しである百合さんはいつものように新聞やネットニュース、SNSをデスクでチェックしていた。
百合さんは朝のルーティンとして、少し早めに出社して、自社の情報についての各媒体での露出状況を確認をしているのだ。
もちろん百合さんを見習って私も早めに出社するようになったのは言うまでもない。
百合さんは私には気付くとパソコンから顔を上げた。
「おはよう、由美ちゃん。出社して早々で申し訳ないんだけど、ちょっとだけ時間ある?あ、全然仕事とかじゃないんだけどね」
「百合さんのお呼びなら喜んで!!」
嬉々として頷く私を見て、百合さんもあの可憐な微笑みを浮かべる。
(それにしても仕事じゃないってなんだろう?)
少し疑問に思いながら、近くの空いている会議室に向かう百合さんの後ろに続いた。
今日の百合さんも相変わらずキレイだ。
百合さんが纏う、花のような甘く優しい、やわらかな香りが鼻をかすめ、うっとりしてしまう。
会議室に2人きりになると、百合さんはその形の良い唇を開き、用件を話し出した。
「朝からごめんね。誰かから聞く前に由美ちゃんには私から話しておきたいなと思って。あの、実はね、昨日入籍したの」
「えええっ!入籍ですかーー!!つまり結婚したってことですかーーー!!」
突然の話に私は大絶叫だ。
私には自分から話したいなんて言ってもらえて、推し冥利につきるというか、それにも大興奮である。
確かに百合さんはここ1年くらいで、花が開くように美しさがさらに増して、いい恋してるんだろうな〜とは思ってたけども!
いつの頃からか左手の薬指に指輪が光っていたけれども!
でもでも、いっつも彼氏の話ははぐらかされて、曖昧に微笑んで誤魔化されていたのだ。
なんかワケありなのかな?と思ってたのに、それがいきなり結婚とは驚きだった。
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