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「大々的に発表とかをするつもりはないんだけど、たぶん漏れ伝わるのも時間の問題かなと思って。だから由美ちゃんには事前に自分で報告しておきたかったの」
「それはめっちゃ嬉しいです!てか、たぶんその話はすぐ社内で駆け巡ると思いますよ。それこそ今日中とかにでも」
「さすがにそんなにすぐはないんじゃないかな?」
「いえ、百合さん。亮祐常務の人気度を舐めたらダメですよ。しかも相手が百合さんとなると、さらに拍車がかかるのは間違いないですね」
その私の予想は大当たりだった。
その日の午前中には、亮祐常務と百合さんが結婚したニュースが社内で駆け巡ったのだ。
ランチ時間の社員食堂は、その話で持ちきりだし、女子トイレや休憩室でも口々に女性社員が悲鳴を上げていた。
亮祐常務を狙っていた女性からは、「信じられない」「うそでしょー!」「いつの間に!?」という声が響くが、一方で相手が百合さんだということで文句を言う人はいない。
まぁ並木さんならしょうがないよねっていう雰囲気に包まれていた。
さすが私の推しだ!
百合さんは思った以上に早く噂になったことに驚き、居心地の悪そうな様子だった。
私は百合さんをランチに誘って、外で気分転換をすることを提案した。
百合さんは喜んで頷いてくれる。
ちょうど百合さんの同期からもお誘いがあったようで、私たちは一緒にランチに行くことになった。
お昼になると財布を持って席を立つ。
百合さんと一緒にオフィスを出て、会社から少し離れた隠れ家のようなハンバーグ屋さんに私たちは向かった。
お店に入ると先に席に着いていたのは、百合さんの同期で総務部の響子さんだ。
「ちょっとちょっと。百合、社内がすごいことになってるんだけどー!」
「うん、私もこんなに早く噂になるとは思ってなくてビックリしてる‥‥」
響子さんも事前に聞いていたらしい。
事前にと言っても、私より少し早いくらいのタイミングだったらしく、やっぱり相手には相当驚いたとのことだった。
「ねぇ、なんでこんなに早く噂が広まってるか百合と由美ちゃんは知ってる?」
「え?何かキッカケがあるんですか?」
さすが社内の情報通の響子さんだ。
なんでもお見通しという感じで、いつも社内情報を得るときにはお世話になっている。
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