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次の瞬間、旭の細い首に噛みつくように、首輪はひとりでに巻き付いた。首輪の噛み合う音が耳元で響いて、旭は一瞬平衡感覚を失ってふらついた。
そんな肩を支えた大きな手のひら――
「素晴らしい心意気だ。これで、優輝くんへの罪滅ぼしができたねえ」
肩に食い込むほどに、その太い指は、旭の小さな肩を掴んで離さなかった。
「今度は君が、あたしのために働くんだよ。なに、傍にいるだけでいい。そしたら勝手に、君と仲良しの幽霊たちがやってくるんだからね」
動いていないはずの心臓が飛び上がり続けている気がした。地に足をつけてこの場に立っているのが、自分と右藤だけである絶望に、眩暈がしていた。
「助けて、キンダイチ……」
思わず溢した一言に、右藤がにやりとしたのが分かった。
「その調子だよ、旭くん。そうすりゃ、すぐに――」
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