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バリバリ働く社会人3年
「大丈夫。
心配しすぎだよ。俺はめちゃくちゃ元気だよ。飯もちゃんと食ってるし。最近太ってきたからジムでも行こうかなって。仕事もやりがいがあって、上司からも期待されちゃってんだ。忙しくてあんまり連絡できなくてごめんね。盆は厳しいけど、正月はそっちに帰ると思うから」
本当はただ空腹を感じなければいいと、コンビニ飯を胃に詰め込んでいる。俺の成果は上司の成果で、上司のミスは俺のミス。体調が優れないと言えばそんなものは甘えだと言われ、休むのならもう2度と来なくていいと怒鳴られる。
優しい母さんに楽させてやりたくて、厳しい父さんに認められるのが嬉しくて、馬鹿やってた仲間にすげえなって思われたくて……
望まれる役を演じていたら、本当の自分が見えなくなった。
飯がうまいと感じたのはいつだっけ。楽しみにしていた漫画の新刊を買わなくなったのはいつからだっけ。最後に声を出して笑ったのは?
いつだっけ、いつからだっけ。
分からない。分からないけど、笑っていれば気持ちも明るくなるって聞いたから…… 何事も気の持ちようだって何処かの誰かが言っていたから…… 俺は今日も目を細め、口角を上げてこう言うんだ。
「俺は本当に、大丈夫だよ」
ヒーローはいつだって、笑顔を絶やさないだろう?
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