4. この気持ちに名前をつけるとすれば

7/7
前へ
/26ページ
次へ
(阿部さんがいたから……) 思い出したら、また無性(むしょう)に阿部さんと話したくなった。 阿部さんのことだから、この昼休みもあの笑顔を他の誰かに向けて、楽しそうに話しているに違いない。 今はその笑顔を、少しでも多く自分に向けて欲しかった。 (結局、そうなんだ)  この気持ちに、名前をつけるとすれば。  ——好きなんだ。もう、だいぶ前から。 心の真ん中に、小さな()(とも)ったように、いつもの自分よりほんの少し温度の高い、暖かい気持ちが心の中に広がって、胸がいっぱいになった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加