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1. ヤバそうなフラグを立てないでください
「木元くーん!」
その朝、通勤途中で会社近くの路上を歩いていた俺を、遥か彼方から呼び止めたのは、同じ会社の総務部に勤める阿部さんだった。
振り向くと阿部さんは、俺の名前を呼びながら小走りで駆けよってくる。社外でも相変わらず、声がデカい。
このままだと会社の前の道行く人すべてに、俺の名前を覚えられてしまいそうだったので、仕方なく会社と逆方向に足を向けて、阿部さんに歩みよった。
「おはようございます、いつも元気ですね。阿部さん」
阿部さんの明るい勢いに押されて、半ばあきれたような微苦笑を浮かべながら、俺は声をかける。
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