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「それが魚住さん、忘年会の時に広瀬くんと付き合ってること、公言しちゃったのよね」
阿部さんは、真面目な顔で言う。
「……まじっすか。広瀬、いま魚住さんと付き合ってるの?!」
広瀬は俺の同期で、一番の出世株だ。顔もいいし、人当たりもいいモテ男である。同じく同期入社の関智香と、入社後しばらくしてから付き合い始め、五年以上は付き合っていたのではないだろうか。
「そう。広瀬くんは関さんと婚約の話まで出てたからね。もう別れて半年以上経つとはいえ、関さんも心中穏やかじゃないかもね」
二人は、半年ほど前になんらかの理由で別れたらしい。以来、二人に気兼ねして同期グループの飲み会もあまり行われなくなったため、俺は詳しい話も知らなかった。
「だからか……」
あの女性二人の、異様な仲の悪さは。
俺はここのところ抱いていた疑問に、やっと解答を見出した。
だが納得したところで解決になるわけではない。間に挟まれて俺の胃壁には、穴が開きそうになっている。
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