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「魚住さんの配属先を聞いた時に、大丈夫かなって思ったのよね」
阿部さんの口調は、好奇心やゴシップに対する興味ではなく、心から心配する響きがあった。おおらかそうに見えても、人の気持ちを思いやることのできるひとなのだろう。
「……お互い無視し合ってますよ」
俺は、軽く溜息をつきつつ言った。
それも、俺の机を挟んで右と左で。やめてほしいわ。
俺を巻き込まないで。
阿部さんをこれ以上心配させるのもどうかと思うが、大丈夫だと意地を張るには現状がひど過ぎた。
あの位置関係はやばすぎる。
学生時代じゃ無いけど、席替えしてと言いたくなる。
「やっぱりそうなんだ。間に入って大変ね、木元くん」
阿部さんが同情したように、心配してくれる。
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