天変地異?

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天変地異?

それは、紅葉が美しく色付く、秋の事だった。 洛北に有る、桜の宮家の別邸で、若い男女が集い、歌会を始めていた。 歌会と言うのは、ただの名目で、桜の宮家の姫、雅の 結婚相手を品定めする、会だった。 三方に幕を張り、紅葉が見える一方だけを開け放った 庭の真ん中に、丸い机を置き、四人は、椅子に座っていた。 今、一番勢力のある貴族、雪代の宮家の長男、伊織 これも、仏教界では、一番勢力の有る月照院の、長男、光。 戦が有る度に、武器の調達から、兵の調達、食料に至るまで、手広く商い 大儲けして、押しも押されぬ豪族となった、風根家の長男、直政。 この三人は、雅を射止め、さらに勢力を大きくしようと、企んでいた。 何しろ、雅の母は、時の天皇の妹だったからだ。 三人は、これでもかと言う位、豪華な衣装に身を包み 自分の家が、いかに優れているかを話し、互いを牽制し合う。 名家の姫と言っても、大したものじゃ無いだろうと言う、予想は間違いで 雅は、その名の通り、雅で、気品の有る美しい姫だった事も有る。 「そろそろ、歌を、、」そう言った時、幕の中に山鳥が飛び込んで来た。 「何だ」「何だ」と、驚いていると、その後を追って みすぼらしい格好の若者が、幕の中に入って来た。 「こらっ、お前ごときが、ここへ入ってはならぬ」伊織が叫んだ。 その途端、地鳴りがして地面が揺れた。 「地震だっ、その机の脚に掴まって、中に、頭を突っ込めっ」 みすぼらしい若者の叫び声に、皆は、机の下に頭を突っ込み それぞれの目の前に有る、円卓の脚を、両手で、しっかり握った。 その若者は、雅の体を、後ろから抱くような格好で、机の脚に掴まった。 物凄い揺れに、皆の意識は遠のき、気が付いて円卓の下から這い出すと 辺りは、深い山の中だった。 「山まで飛ばされたのか?」光が、着物の土を払いながら言う。 「地震で、飛ばされたなど、聞いた事も無い」直政も、土を払いながら言う。 「だが、現に、ここは山の中だ」伊織が、辺りを見回して言う。 「大丈夫だったか?」みすぼらしい若者は、雅の体を気遣っていた。 「大丈夫です」雅は、乱れた着物の裾を、合わせながら言った。 「こらっ、そんな、むさい格好で、姫に近づくんじゃないっ」 伊織が、目を吊り上げて言う。 「そうだぞ、一体、お前は何者だ」直政もそう言った。 「猟師の新太だよ」男は、けろりとした顔で言う。 「猟師だと?汚らわしい」仏教界に居る光には、殺生をする猟師は 目の敵だったし、この世界で、最高の位に居る、自分達とは あまりにもかけ離れた男だ、我等と、対等に話をするなど、考えられない。 「去れっ」三人は、しっしと、犬でも追い払うような仕草をした。 「言われなくても、去るさ」新太はそう言うと 「姫様、喉が渇いたでしょ、水を探しに行きましょう」と、雅の手を取った。 「此奴っ、まだ分からんのかっ」「その汚い手を放せっ」 三人は、喚いたが、雅は、そのまま、新太に付いて行った。 現代の言葉も、よく分からない私、平安時代の言葉など、全くお手上げ なので、平安時代の若者たちは、現代語で話す事にしちゃいました(-_-;)
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