番外編⑥ 二藍ランの第百回ファイト日報Ⅱ

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ラン「はぁ~あ。相変わらずネチネチと面倒くさいわね。だいたい、盗み聞きなんて趣味が悪いわ。いつからいたのかしら」 ハヲ「至極主任、記録業務お疲れさまでした。お互いに最初の任務(ミッション)の日に記録が当たって、ツイてないですよね。……じゃあ、俺さっそく12日目の記録に向かいます。至極主任、ラン先輩、ガリー失礼します」  至極は四日目の記録を担当している。11日目のレイン王女を所定の場所にお連れする任務(ミッション)の日に業務がぶつかり、大変機嫌が悪いようだ。ハヲはそれを気にかけて声をかけた。 至極「もう日付が変わって20分58秒も経過している。明らかな遅刻だ。始末書を後で書け。それから、ランとガリーツィア・ヴェンにはお前たち三人が無断で何を調べていたのか確認する。いいな。あぁ、あと、気安くランを下の名前で呼ぶな。先輩だから敬え」 ハヲ「は、はい……」  すっかり元気を無くしたハヲはしょぼくれた様子で禁断の書庫を後にした。ガリーはずっと恐怖で一言も話せていない。至極はそれだけ後輩から怖がられている。  ランは大体のことは至極に聞かれており、ここは隠しても仕方ないと腹を括る。同期だが一応上司である彼に今まで調べていたことを全て報告した。至極は終始不機嫌な態度でランの話を聞いていた。 至極「そんなことを調べても、業務上全く関係のないことだ。貴様らは労力と時間を無駄にした。その労力と時間を他の業務に回せば作業効率は向上し、昇格に一歩近づいたであろうにな。考えが甘い。 それに一般職の貴様らが何を訴えても意味はない。適当に左遷されて、この事実が明るみになることはないだろう。政治家の世界はそれだけ腐っている」  政治家一族出身の彼が言うことは説得力がある。自分たちの調査結果などきっと水面下でもみ消される。そんなことは予測が付いていた。  それでも、未来ある子どもたちの為にランは”ファイト”で不審な部分があるのなら改善したいという強い思いがあるのだ。論破されてもランは食い下がらない。 ラン「左遷されても……間違っていることは修正しないといけないわ。誰かが声を上げなくてはいけないのよ! それに、私の教え子たちがたくさん”ファイト”に参加しているの。心配で仕方ないのよ……」 ガリー「し、至極主任。二藍先輩の教え子達に、先程お話した不審人物が接触しているのですぅ」 至極「そのような事は百も承知。秋原リングを含む五名の参加者が、レイン王女を一番初めに保護した」  至極はリング達五人に接触した不審人物の事を知っていた。それだけでなく、ランの今の教え子がリング達ということも何故か把握している。
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