14話 不気味な髪の森

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 夜が明け、空が白んできた。早朝に五人は目を醒まし、霧の森を北へと進んだ。  七日目の朝。森の中を歩いているとすぐに異変に気がつく。昨晩は暗かったため、気がつかなかったが、森のあちこちに細長い、鮮やかな明るい青緑色の何か繊維のようなものが落ちていた。  初めはポツリポツリと見かける繊維は、進んでいくうちに段々と地に落ちている量増えてきた。量が増えたところで、ようやくその繊維がであることに気がついた。 リング「これ、髪の毛だ。しかも、わたしよりも長い……」 ウラ「リングよりって……相当じゃない?アンタは生まれてから12年間髪を一度も切ったことがないのよね」  リングは橙色の長い髪を二つに結い、その髪は腰までの長さがある。落ちている髪の毛はその何倍も長かった。 リング「うん……」  五人が進んでいる場所は、まだ旧雲族(くもぞく)の領地内で、辺りは霧で覆われている。視界は悪く、髪の毛が落ちているとなると一層、この鬱蒼とした森は不気味だった。
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