14話 不気味な髪の森

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(この穴、さっきまでなかった。皆、捉まった……!)  美里(みり)は冷静に状況を考える。おそらく、(ライバル)は何かしらの手段で五人の位置を把握し、捉える機会を窺っていた。  そして、その時にちょうど自分だけサジノスケのもとに移動したため、偶然捉えられなかった。穴が四つある場所、それは数刻前まで美里が立っていた場所だった。ライバルが美里を捉えようとして失敗した証拠だ。  四つの穴とサジノスケの近くにあった穴に、足音を立てないよう、恐る恐る近づくと、髪の毛が穴の側面にびっしりとついており、より不気味だった。穴の先は暗くてよく見えない。 (この穴、深い……! 地中深くだと、酸素が行き届かないはず。皆が危ない!)  美里は他の四人を救出するために、穴に潜入することを決意する。 美里「式神・探針(しきがみたんしん)」  美里は手のひらサイズの水色の紙人形の式神を召喚した。そして、それを一番大きな穴に潜入させた。その隙に美里は穴の開いていない場所に移動する。 暫くして、美里は式神が膨大な魔力を察知した反応を感じた。 (見つけた。こんなに膨大な力は一人のものなの…?それと、皆の魔力も感じる…。よかった、無事だった)  そして、美里(みり)は大きな穴の前、落ちるか落ちないかギリギリの所に立つ。 美里(みり)「皆、今行くからね」  美里は慎重に大きな穴の側面に足をかけ、穴の底へと降りて行った。
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