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「さて、君の名前は?」
青年は首を傾げて聞く。
「えっと…名前はヨルです…」
「その他には?」
「すみません、記憶がなくて…」
「………君の場合“それ”なのか」
「え?」
「いやいや、何でもないこちらの話だ。ちょっと失礼…」
フードの付いた服から素早くスマホを取り出すと青年は何処かに電話をかけた。
「さて、ナンパでも何でもないからついてきて欲しい所があるから着いてきてくれないか?」
「なぁに“ただの”喫茶店さ」
……やっぱりナンパじゃないのか?
あの場から離れたあとヨルは青年と一緒に歩いていた。
煉瓦でできているレトロな町通りをスムーズに足の運び方からして、青年は何度か来たことがあるようであった。
縁も来たことがあるのだろうか…
そんな事を思いながら足を進めて徒歩十分。
青年の足が止まった。
どうやら目的の所に着いたらしい。
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