20人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
依頼ボックス
辺りは、荒廃した建物や車、瓦礫の山など、道路はひび割れ、所々アスファルトが隆起していた。
「ショウ兄ちゃん、どこに向かってるの? この先は確か行き止まりだよ」
「国境の谷に用事がある。正確には谷へ突き出した丘にある物だけどな」
アキラはふうんと言って、それ以上訊かなかった。
町は徐々に森へと変化し、そこを抜けると丘のある国境へと辿り着いた。
見上げると、丘の稜線が空と地面を隔てる一本の線に見え、その線に乗るようにガシャポンがあった。
「何これ?」ガイが訊く。
「ガシャポンだ」
「見れば分かる。動くのか?」
「これは依頼ボックスだ。盗みの依頼を書いた紙が、プラスチックボールに入っている」
「一、二、三……五個あるよ」
宝物でも見つけたかのように瞳を輝かせるキララは、一生懸命、中を覗き見た。
「ああ。でもこれから取り出すのは一つだけだ。その一つの仕事が終わったら、次のボールを取り出すことにしている」
ショウはレバーを回す。ボールが一つ取り出し口に落ちて来た。
四つ折りにした小さなメモ用紙が入っていた。
『神の種』をお探しください。報酬金額はご要望のままに。連絡先:xxx-xxxx-xxxx セーラ』
スラムで金は役に立たない。俺たちが欲しいのは今日を生きるための食べ物なのにな。
「じゃあ、その報奨金、俺にくれよ。俺もその『神の豆』を盗む手伝いをするかさ」
「種な」
ショウは少し考えた。ガイの鍵開けの腕前は使えるかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!