恋人・七居 陽呂の回想 3 (※R18描写あり)

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恋人・七居 陽呂の回想 3 (※R18描写あり)

初めてセックスしたのは、付き合って2ヶ月くらい経った頃。 それ迄は強請ればキスはしてくれてたんだけど、何ていうのかな…出原…もう言いづらいから祥でいっか。 祥ってあっちの方、淡白っぽくて。普段の調子見てたら納得?…まあ、そうだよね。 だから俺の方が迫って迫ってやっとしてくれる事になったんだけど、実は俺、体格差とか考えて、自分が抱かれる方かなって思ってたんだよ。 だけど、祥がさ。 『僕は経験が無いから、慣れてる君が好きにしてくれたら…。』 って言ったんだよ。 俺、浮かれた。 す、好きにして良いの?この芸術的な顔と体、俺の好きに?って。 いや、祥にそんな事言われたら俺じゃなくてものぼせ上がるでしょ。 俺は俄然、張り切った。そんで生まれて初めてってくらい緊張した。 祥は俺の初めてキラーなんだよね。色んな事の最高値更新させてくれる。 うっきうきワクワクの俺は、祥に痛い思いをさせない為に出来る準備を全部用意した。 それで、忘れもしない翌週の金曜日。学校が終わってそのまま祥を初めて俺ん家に連れてった。あの頃って俺の親、共働きでどっちも夜遅くにしか帰って来なかった。所謂社畜ってやつ。俺は一人っ子だし、連れ込み放題っちゃそうだった。 でも、だ~れも部屋に入れた事無かったけどね。 だって勝手にあちこち触られるのも汚されるの嫌じゃん。 でも、祥は別。 何せ俺が、生まれて初めてガチ惚れした男なんだから、どんだけでも俺の部屋に居て欲しい。なんならずっと監禁して俺が全部世話したいとさえ思った。 人の世話なんかした事無いけど、祥の事なら下の世話だって出来るよ。惚れてるからね。 初めて俺の部屋に入った祥は、少し物珍しげに見回して、 『随分と綺麗に片付いてるんだな。』 って言ってくれた。 一人がけ用には少し大きいけど2人では少し小さいソファに祥を座らせといて、キッチンから飲み物を持って来て渡しながら聞いてみた。 『祥の部屋は?』 『僕の部屋は…結構散らかってるかもしれない。 趣味の物で。』 『へえ…。』 意外なような、納得なような。 スッピンは超絶イケメンだけど、世を忍ぶ仮の姿も中身もヲタなんだもんな。 『フィギュアとかもあんの?』 『白銀天界騎士・魔王リュデュガー様の御尊体なら。』 『はく、ま…りゅ…?……ふぅん…。』 それは結局、天なのか魔なのか。善と悪どっちかすら判別がつかないんだけど。つか俺の祥に様付けされてるのも御尊体とか言われてるの、超むかつくんですけど。 カオスな気分になってたけど一応笑顔で頷いた。祥の好きなものを否定なんか出来ないし。 否定は出来ないけど、理解するのは時間が掛かりそうだなって思った。 『半裸の女の子のとかは無いの?』 『興味が無い。』 『イケメンの半裸のやつは?』 『?イケメンの半裸?』 『あ、うん。わかった。』 良かった。祥は美少女キャラにもイケメンキャラにも興味が無い模様。 持ってるってのも、人間ってよりガチャガチャの鎧騎士とかロボ的な奴に違いない。うん、きっとそう。子供の頃に憧れる感じのアレっぽいやつだよね? リュ…何とか様は、今やってるゲームのラスボスキャラとかなのかもな。 さっき迄のカオスな気分が一気に吹き飛んだ。そんな少年の心失ってない純な祥可愛い。 すっかり上機嫌になった俺はニコニコして、葡萄ジュースをストローで吸い上げてる祥の横顔を眺めた。 唇窄めてるの、セクシーで痺れた。 少し話して会話が途切れたところで、祥の眼鏡のつるに手を伸ばした。 2人きりの時に俺にだけ許された、眼鏡を外す行為。 分厚いレンズが避けられて、長い前髪を掻き上げると露わになる全貌。 神々しい程に美しい、その素顔。 長く影を落とす睫毛に守られた、物憂げな色合いの瞳は、見る度に胸と下腹部がキュンキュンする。 何つーのかな、強烈にこの男の精子が欲しいと思ってしまう。 子宮を持たない男の俺でもそうなんだから、女はもっとそうなるんじゃないかな。より優れた強い遺伝子を欲するのは人間の本能だろうし。 じっ、と見つめると祥も俺を見つめ返してくれる。澄んだ湖面のような瞳に俺だけが映っているのは凄く気分が良い。 吸い寄せられるように唇を重ねると、夢見るように長い睫毛がふぁさりと伏せられる。 綺麗な瞳が隠れちゃったのは勿体ないけど、目を閉じた顔もまた綺麗でうっとりしてしまう。 薄いのに柔らかな弾力を持つ祥の唇は、俺の唇をしなやかに受け止めてくれた。 舌を入れて絡めると、直前迄飲んでた葡萄ジュースの匂いが甘酸っぱくて、でも徐々にそれが薄まってって祥の唾液と俺の唾液だけの味になって。 気持ち良かった。 好きな人とのキスってこんなに良いのか、って思ったよ。後頭部から脳髄に痺れが広がるみたいだった。 キスだけでイキそうになったのは、祥とが初めて。それは今でもそうなんだけどね。 キスの後、俺は祥の手を引いてベッドに誘導した。マットレスの上に押し倒して、またキスをして、祥の制服のネクタイに指を掛けて抜き取った。ぴっちり留められたシャツのボタンを上からひとつひとつ外していくと、浮き出た鎖骨が見えてきて…。祥、中にインナー着ないから、直ぐに薄桃色の乳首も見えた。 ごくり。 他人の乳首に生唾飲んだのも、執拗いようだけど初めてだった。 あまりに楚々として小さくて可憐な処女乳首。思わず唇で食んでしまったのは仕方ないと思わない? 『…ぁ…っ。』 何時もの不感症ぽさは何処へやら。祥は喉を反らして引き攣らせながら敏感に反応した。 それに気を良くした俺は、舌先でその小さな突起を大事に転がした。 祥はそれにも掠れた細い声で反応してくれて、俺の下半身はその時点できかん坊に。 でも、我慢。 誰にも触れられてない、初めての祥。真っ白な雪原みたいに穢れを知らない綺麗な祥に、俺の逸る気持ちを優先させて怖い思いをさせたくなかった。 俺は辛抱強く祥を愛撫したよ。祥の体はどこもかしこも素敵だった。肌が滑らかで、インドア派で運動なんか学校での必要最低限しかしないって言ってた癖に、きっちり筋肉が付いてる。腹筋だって俺より全然割れてるし、思わず頬擦りしちゃうくらいセクシーなんだよ。ヤバい男だよ、マジで。 こんな男が、初めてで勝手がわからないってだけで俺に抱かれてくれるんだよ?他人どころか人間自体に興味が無いのに、ゴリ押しとはいえ俺と付き合ってくれて、好きにしろって体を投げ出してくれる。 これって恋人特権でしかないじゃんね。食い下がって良かったって、あの日の自分を内心ベタ褒めたよ。 体中、それこそ頭の旋毛から手足の爪先迄、口付けた。何処に触れても体を震わせて、上気していく白い肌に夢中になった。 祥が勃起したのを見た時は感動してむしゃぶりついちゃったよ。初めての他人の口の中の感触に悶える祥は初々しいのに悩ましくて、上目遣いに見てるこっちの方がちんこ爆発しそうだった。 喉奥で受け止めた祥の精液を飲み下した。俺、既にたくさんの男とも寝てたけど、精飲は初めてだったんだ。でも全然不快じゃなかった。お馴染みの青臭い独特の匂いはやっぱりしたけど、祥の遺伝子だと思うだけで、喉にへばりついた残滓すら愛しく感じた。 もうこれって愛でしかないでしょ。俺、その時誓ったんだ。 何があってもこの男だけは手放さない。 体だけじゃなくて、この男の心もきっと手に入れてやるって。 長い足の間、固く閉ざしていた祥のアナルを、指で解して舌で舐めて唾液でふやかして。 挿入出来たのは、取り掛かってから小一時間は後。俺、自分がこんなに忍耐強いなんて知らなかったよ。 ゴムを装着したペニスをゆっくりゆっくり挿し入れた祥の中は、最高だった。The・桃源郷。 最初だから狭くて痛いかもって覚悟してたのに、狭い入口を突破してしまえば、俺のペニスをやわやわと良い具合いに締め付けてきて、奥も深くて。 『あっ、ダメだ…そこ、は…あああ、』 祥が吐息混じりに喘いで、それにも耳がヤられる。 挿入迄は我慢出来たのに、してからは全然我慢がきかなかった。 『……ぅ…!!』 『あ、あっ…!』 俺が自分の中で射精するのを感じたのか、祥のペニスの先からも精が飛び散って俺の腹や胸を濡らした。 処女アナルに中出ししたいのはやまやまだったけど、流石に最初からそれは体調崩させちゃうと可哀想だなって我慢したんだ。お陰で中でイっても祥の直腸内を汚す事はなかった。 最初の経験は先の性生活を左右すると思うから、俺的には出来る限りの配慮をしたつもり。だって、痛かったからもうしない、とか言われたら俺、壊滅的ダメージを受けてしまう。 全てが終わって、肩で息をする祥は、汗や唾液や精液に汚れていても綺麗で、愛しいと思った。大事にしたい。 どんな奴と寝ても、祥だけは特別なんだ。他の人間と同列になる事は有り得ない。なのに何故浮気をするかって? それは、俺の身になってみなきゃわからないかもしれないな。 もしかして、俺は待ってるのかもしれない。 祥の心が、俺の事で動くのを。 俺に対する独占欲が芽生えてくれる、その一瞬を。 俺は祥と、本物になりたいんだ。
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