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出会い ③
「え?」
和が振り向くと、
「何かお礼をさせてください!」
と少年。
お礼っていってもな…。
今まで誰かを助けて、「お礼がしたい」と呼び止められたのは初めてなので、どう対応していいか分からない。
「そんなの…、いいよ…」
無難にそんなことを言ったが、
「そんなわけにはいきません!」
少年はスマホを取り出し、メッセージアプリを起動した。
「友達登録しても、いいですか?」
QRコードの画面を出す。
「友達登録?」
「はい、友達登録です」
少年はスマホを和の方に差し出す。
初対面の人と友達登録なんてしたら、危ないよと言う前に、
「僕と友達になってください」
照れくさそうに少年がはにかんだ。
「え?俺?」
「はい!」
「俺、こんな顔だよ?」
「顔…ですか?」
「俺の顔、怖くないの?」
「どうして怖いんですか?僕は大好きですよ」
さっき出会ったばかりで初対面の天使のように可愛い子に『大好きですよ』と言われ、和の顔は爆発しそうになる程赤くなった。
「お願いします。僕とお友達になってください」
少年が何度も言うので、
「是非とも、お願いします」
柄にもなく和は緊張しながら、スマホを差し出し、友達登録をした。
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