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新たな出会い ⑤
自動販売機で三人分の飲み物を買ったあと、
「なぁ伊織、ちょっと相談が……」
和が伊織に相談を持ちかけた。
「なに?」
「北田先輩の話では、新しい場所探しているって言ってたけど、そう簡単に見つかるとは思えないんだ」
「うん、僕も探したけど見つからなかったもん」
「でさ、元々はあそこ北田先輩の秘密の場所だったわけだし、これからは北田先輩と一緒に使わせてもらえないかと思って。伊織さえ良ければの話だけど……」
和としては伊織と二人っきりになれる、唯一の場所。
本当なら伊織と二人で過ごしたいが、自分たちのせいで北田の気の休まる場所がないのは申し訳ないし、常に人に囲まれるのは相当疲れるとここ最近和は実感しところでもある。
このまま北田先輩がゆっくり休める場所がなければ、また倒れてしまうかもしれない。
「伊織はどう思う?」
「わぁ〜すごい!僕もおんなじこと思ってた!」
キラキラした瞳で伊織は和を見た。
「僕もそう思ってた。だからあとで和さんに相談しようかと思ってたんだよ。新しい場所は僕たちが探せばいいし」
伊織が和に抱きつく。
「今度こそ、和さんと僕だけの、二人の秘密の場所だね」
二人の秘密の場所。
響きがいい!
「絶対に探そうな)
和は力強く言った。
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