3人 ①

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3人 ①

 医務室に帰り、北田にそのことを伝えると、はじめは「二人の邪魔になるから」と二人の申し出に断っていた北田だったが、伊織の「お願い」攻撃にあい、最後には三人で使うことに承諾した。  秘密の場所を使うようになり、三人で昼休みを一緒に過ごすことが多くなり、次第に毎日のように一緒に昼食を食べるようになった。  一人暮らしの北田の昼食と言えば、惣菜パンかコンビニ弁当。しかも偏食持ち。  明らかに栄養のバランスが悪い。  和が「野菜も食べてください」と言うと、一生懸命に食べているが、それでは食事を楽しめないと、和と伊織は日替わりで自分の弁当と一緒に北田の弁当も作り持っていくようになった。  二人の作る弁当を食べるようになってから、北田は苦手だった野菜が食べられるようになり、顔色も体調も良くなっていった。  そんなことをしながら、和と伊織と北田の距離はどんどん近くなり、大学内だけでなく放課後一緒に出かけたり料理教室まで一緒にするの仲になった。  そんなある日。  和は祖父からあるお願いをされた。 「しばらくの間、料理教室休みにしようかと思って……」  昼休み、和は話を切り出した。 「今日だけじゃなくて、しばらくの間?」 「そうんだ。実は…」  和は話し出した。  経緯はこうだ。  和が昔から通っていた喫茶店のマスターは祖父の幼馴染で親友。  その親友のマスターが階段から落ちてしまい、手首を捻挫てしまい、一人で店をまわせなくなったので、怪我が治るまで和に喫茶店を手伝って欲しいとのことだった。  祖父は断ってもいいと言っていたが、小さい時から世話になった恩もあり、しばらく手伝いをすることを承知したのだった。 「おじいちゃんの親友さん、大丈夫なの?」 「大した怪我じゃないから大丈夫らしいかあら、治るのに時間はかからないって聞いてる」 「それはもちろんマスターについててあげるのが一番だと思う」 「料理教室、伊織も先輩も楽しみにしててくださってるのにすみません」  申し訳ない気持ちでいっぱいだ。 「そんなの気にしないで」 「そうだよ。あ!俺、手伝いに行こうか?」 「先輩が行くなら僕も僕も!」  北田が提案すると伊織も賛同し、はいはーいと手を挙げる。 「その気持ちは嬉しいけど、今回は俺だけで行ってきます」 「そっか…。少し寂しくなっちゃうけど、和さんがそう言うなら……」  しゅんと肩を落とす伊織を見ていると、心が痛み「いいよ」といってあげたくなる。   でもここは我慢だ。 だって伊織と北田先輩が来たら……。  二人が手伝いに来た時のことを想像する。 「可愛い子とイケメンがいたら、絶対に二人目当ての人たちが押し寄せて、常連さんがゆっくりできなくなってしまうかな?って。二人の申し出は嬉しいけど、今回ばかりは……」  申し訳なさそうに、和は両手を合わせ謝った。
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