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彼女は首を傾げる。
「ありゃ? もしかして自覚なし?」
「何のことだ、私は善意で、望まないパパ活女子を救っていただけだ!」
「ほーう。じゃあーお聞きしますけどー、それで良い思い、したことなーい?」
「……!!! そ、それは、実態調査の一端としてなら……!」
「あるんだー? あるんだよね? それはそうよね、私もアヤセとしてあなたに会ったから分かるよ。熟れてるのがさ」
彼女はフウと嘆息を漏らしながら、私の顔を覗き込む。
「……コウジさんは自覚してないのかも知れないけど、あなたは紳士を演じて、パパ活をものすごーく、楽しんでいたんじゃないのー?」
紳士……。善意のアクター……。
思えば私が救った子達。
今も私を慕い、依存している子達。
良い思いをしているのは誰?
お金を援助してもらっている子達、そのリターンを貰う私。
そうかWin-Winの関係。
私は自分に無自覚に、自らを紳士と思い込み、善意を重ねる人物を作り出すことで、罪悪感なくパパ活というものを楽しんでいただけではないか。
そして救うべきタイプ2の『引け目女子』を、タイプ1の『生業型女子』に作り変えていたのではないか。
アヤセという女は、パパ活女子を演じていた調査員であった。
でも一番何かを演じていたのは、この私だったのだ。
私の『善意』こそが、一番のアクターだった。
パパ活紳士は善意のアクター。笑わせてくれる。
■□おわり□■
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