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 それからしばらくは、注文した品に舌鼓を打つ、他愛無い時間が続いた。  無論会話はしていたが、踏み込んだ内容は話していない。やたらと質問が飛んでくるので、それに答えていた。たまにパパ活を社会勉強だと思っている子がいるが、そういった子の反応に近い。  私は美味しい店の見分け方だとか、良い会社悪い会社の自分なりの判別方法などを話してやった。彼女は社交辞令とかそういった雰囲気ではなく、単純にそれを感心して、楽しんでくれていたように見える。  少し酒も入り赤らんだ頬で微笑む姿は、いかにも魅力的だ。  私が紳士で良かった。こんなの紳士かつ善意のアクターの私でなければ一溜まりもない。いくら積んででもモノにしたくなってしまうだろう。  アルコールも腹もそれなりに満たされた頃、私は少し踏み込んだ。 「無いって言ってたけど、今日はどうして?」 「それは……お金が必要なんです……って当たり前、ですよね……」 「当たり前ではないけどね」  彼女は少し下を向きながら、口を動かした。 「……弟がいるんです。結構年下の」 「うん」 「その弟が公立高校に落ちてしまって、私立に入ることになって、その入学金やら何やらが、すっごく高いんですよ。うちはそんな裕福じゃないから……」  やはりな。  彼女のような子がまとまった金を欲するなど、事情があるに決まっていた。
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