揺れる視界の中。

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今私が私にできることは何だろう。 この人に抱かれることで一時の性欲を満たすことか。 それとも、今すぐこの世界から逃げだすようにして一人の世界へ戻るのか。 それか、きれいすぎる海にでも飛び込みに行こうか。 どうでもいいから目を閉じようか。 透き通った空気だけが流れて私すらも存在しないような気持になった。 なんかただ、 そこにいてくれるだけで幸せなんだよ。 そんな風に頭の中で誰かに言われる。 そうだ。 ただ、そこにいるだけでいい。 現実世界に巻き戻されることなく自然に目を開けると、日が落ちる世界ときれいな男の人の横顔があった。 でも、なんだか違和感できれいすぎるその人を目の前に私は声を出す。
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