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🔔3年後の再会
あれから3年も経っているのに。今日は降り始めた雪を見て、なんであの日の君を思い出したんだろう。
僕は、寒さに凍えながら実家の近くにあるペットショップに着いた。自分の為にはそんなに外出しない僕が、雪の中買い物に行く理由がここにはある。僕の癒しのペットのご飯を買いに来た。休暇中の分、まとめて買っておこう。袋を抱えてレジに向かおうとするが、やっぱり動物たちの前で寄り道。
おー!うちの子の仲間たち可愛いねぇ…
マスクの中でニヤニヤしてしまう。
「…あ!!」
と言われて顔を上げると、思わず僕も
「あ…!」
と声が出てしまった。そこにいたのは、あの日の君だった。
「ちょっと待ってて!」
と言い、僕は急いで会計を済ませてきた。
なんとなく2人で店の出口へと向かう。何を聞いたら、何を話したらいいか全然わからなかった。必死に考えた結果、あの日のお礼だけは今日こそしっかり伝えなきゃと思った。
店の自動ドアが開くと、外はまだまだ雪が降り続いていた。先に一歩外へ出た君が、ツルっと雪で足を滑らせたので、とっさに支えた。驚いた2人の視線が至近距離で重なる。
そう、あの日と同じ距離で…
この一瞬で3年前のことを、まるできのうの事のように思い出した。それは僕だけじゃないみたいだ。気まずい距離を保ったまま、2人でゆっくり雪を踏みしめながら歩き始める。
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