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①スーパーリーチ
頭がガンガンするような、そんな音がずっと流れている。機械の声に金属の流れていく音。
「また、いるの?ちーくん。」
お父さんの横に座る僕にガラガラ声のモジャモジャ頭のおばちゃんが話しかけてくる。
「杉山さん、ダメだよ、こどもー。」
「ん?あー、そいつは…そう見えて大人なんだー。」
「バカ言ってら!」
おばちゃんは、銀色の玉を鷲掴みにして、台に吸い込ませていく。1円玉をハンドルに噛ませて、ずっと握ってなくても機械が動くようにする。
「ちーくん、あの球があそこに入ると数字が回る。青い数字が揃ったら確変。知ってる?」
「ばばあ!教えんな!」
お父さんがおばちゃんに怒鳴りつけるのを黙って見ていた。
「教育だろ?きょういく!違うか?」
「一応預かりモンだから、変なこと吹き込んじゃいけねーんだよ!」
「こんなとこ連れてきてるやつが言うな。」
おばちゃんは、丸い日の丸の書いた箱からタバコを一本取り出して、火をつける。白い煙を吐いてニヤッと笑う。
「リーチ!当たりだ、こいつは!悪いね杉山さん。」
「うるせーよ!」
お父さんは、ビスケットを齧る。僕にも欲しいのだけど、もらえない。
「見ろ!スーパーリーチだ!!」
台が光って、映像が賑やかで。
「大当たり!!」
おばちゃんがはしゃぎながら、タバコを吸った。
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