確かめ屋 三田浩二 顛末記 『桜の森の満開の墓地』

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確かめ屋 三田浩二 顛末記 『桜の森の満開の墓地』

① 『琥珀亭』    昼間は、本格的コーヒーが味わえる、落ち着いたカフェ。  夜は、好事家(こうずか)が集まり、奇談珍談に花を咲かせるバー。  二つの顔を持つカフェバー。  『琥珀亭(こはくてい)』  俺は、ここでウエイターや、皿洗いなどのバイトをしている。  『琥珀亭』を切り盛りするのは、正体不明の初老の男性マスター、バーメイドで年齢不詳のお姉さん天野(あめの)鈿女(うずめ)ちゃん、そして俺、大学3年生 三田(みた)浩二(こうじ)の3人。  店内は、カウンターに5人、ボックス席に8人も座れば満員御礼(まんいんおんれい)になる、こじんまりとした作り。昭和チックでレトロ感満載だ。  それが『琥珀亭』。  俺、三田浩二は、ここを拠点(きょてん)にして(うら)のバイト『確かめ屋』をしているのだ。裏のバイトと言っても、決して怪しげな仕事ではない。人それぞれ、過去に思い残したことの一つや二つはあるだろう。その心の(おり)になっている出来事の顛末(てんまつ)を、俺が確かめて来るってわけだ。名付けて『確かめ屋』。名前は、俺が勝手に考えた。で、確かめた(あかつき)には、幾ばくかの小遣いをもらう。  カフェバー『琥珀亭』の『確かめ屋』三田浩二。それが俺だ。なーんてね。
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