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まぁ、はじめてやってきたリンゴンの街にはしゃいで、うっかりお財布を落としちゃった僕の自業自得だよね……と、しょんぼり肩を落としたときだった。
ぴゅーんっ!
「あれっ、いまなにかが目の前を横切った気が……」
あと気のせいじゃなかったら、僕のお財布に似たものが見えたような。
「っていうか本物ーっ!」
見間違いじゃなかった。僕のお財布が、地面すれすれを猛スピードでかけずりまわっていたんだ。
というと語弊があるけど、お財布に足が生えたわけじゃない。断じてない。
「ンムム、ムモモモモ!」
まさかのまさか。白に黒ぶちもようの毛並みをしたネズミ型の生き物が、ぽてっとしたおなかにお財布のひもを引っかけていたんだ。
ネズミ型だけどけっこう大きい。ヒトの赤ちゃんくらいのサイズはありそう。
「なんだあのモンスター!? はじめて見る……じゃなくて! 追いかけなきゃっ!」
「モッモッモッ! モォオオオウッ!」
ハラペコだなんて言ってる場合じゃない。
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