第1話 しもべにしてください! えっ、だめ?

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 まぁ、はじめてやってきたリンゴンの街にはしゃいで、うっかりお財布を落としちゃった僕の自業自得だよね……と、しょんぼり肩を落としたときだった。  ぴゅーんっ! 「あれっ、いまなにかが目の前を横切った気が……」  あと気のせいじゃなかったら、僕のお財布に似たものが見えたような。 「っていうか本物ーっ!」  見間違いじゃなかった。僕のお財布が、地面すれすれを猛スピードでかけずりまわっていたんだ。  というと語弊(ごへい)があるけど、お財布に足が生えたわけじゃない。断じてない。 「ンムム、ムモモモモ!」  まさかのまさか。白に黒ぶちもようの毛並みをしたネズミ型の生き物が、ぽてっとしたおなかにお財布のひもを引っかけていたんだ。  ネズミ型だけどけっこう大きい。ヒトの赤ちゃんくらいのサイズはありそう。 「なんだあのモンスター!? はじめて見る……じゃなくて! 追いかけなきゃっ!」 「モッモッモッ! モォオオオウッ!」  ハラペコだなんて言ってる場合じゃない。
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