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「うわさになって、ぜひとも魔女に会いたいって人がたくさん出るだろうなあ。だって、滅んだはずの魔女だものね? 各国政府は人を操るというその魔力に興味があるだろうし、金持ちは魂をも揺すぶるという美しい歌声を聞きたがるよ、きっと。となると、彼らに魔女の情報を流して儲けようって人たちだって出てくるよね」
彼はやる。間違いなく言ったとおりにやってのける。
その確信に疑問の余地はない。フェリサは眉を逆立てた。
「こっ、この恩知らず! 助けてやったじゃないですか!!」
「まあまあ、ひとりは寂しいよ? 僕はもうこづかいがもらえないし、フェリサも給料がもらえないんだし、これからはふたりで助けあって生きていこうよ。大丈夫、僕は高望みしないから」
魔女の末裔と悟られることなく、地味に目立たずひっそり生きていきたいというフェリサの願いは、やはりかなわぬ運命にあるようだった。
《了》
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