13、童貞×処女*

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 それが避妊具だと気づいて、杏樹はあっと思った。――すっかり、忘れてた。 「桜井さん、それ……」 「これ? 万一本気で処女くれるんやったら、生でするわけにいかへんやろ思って、昨日、慌てて買いに行ったんや。そんで戻ってきたら爆睡されてた俺の気持ち、わかる?」  色気を含んだ眼差しで軽く睨まれて、杏樹が申し訳なさに身を縮める。 「しかもこれ、当たり前やけど説明がフランス語なんや。今、欲望に支配されて頭がパーになっとるさかい、意味がわからへん」 「とりあえず中身を出してみたら、なんとかなるのでは」  桜井が封を切り、妙に鮮やかな円形のゴムを取り出す。何気なく、ゴムを装着しようとするモノを見て、杏樹が思わず叫んだ。 「え、なにそれグロ!」 「ちょ、俺、童貞やのになんてこと言うねん! 傷つくやろ」 「だって……そんなもの生えてて、邪魔じゃないですか?」 「通常がこの状態なわけないやろ!」  桜井がゴムを被せる様子を杏樹は直視できず、目を背けていると、桜井は杏樹の脚の間に体を入れ、それから思い出したように羽織ったままだったバスローブを脱いだ。
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