18、釘を刺される

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 左手で持ったスマホを左耳に宛がい、桜井が呼びかけると、一瞬の間の後に老婦人の声がした。 『もしもし、サクライさん? 杏樹の祖母です。お出にならないかと思ったわ』  「えらいすいません。図書館にいてるので、通話のできるエリアが遠くて」 『ああ……学者さん、でいらしたものね。今、よろしい?』 「ええまあ……それほど長くなければ」    電話の向こうの老婦人が少し躊躇ってから言った。   『サクライさん、単刀直入にお尋ねするのだけど、あの子と寝て、どうなさるおつもりだったの?』  いきなり豪速球ストレートの質問が飛んできて、桜井は思わず右手で鳩尾を押える。 「ど、どおって……その……」  『あの子のこと、責任を取る覚悟がおありになるの?』  「せ、責任?」 『それとも、旅先の行きずりのつもりだったのかしら?』 「僕は、その……そんなつもりでは……」 『ああ、その前に、ひったくりに遭ったあの子を助けていただいたことは、お礼申し上げなければいけませんわね。あなたがいなかったら、もっとひどいことになっていたかもしれない。お金も貸してくださって……ホテルも――』  
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