20、最後の夜*

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 舌で転がせば杏樹が刺激に身を捩り、桜井の肩に縋りついた。それを合図のように桜井はトンッと杏樹の肩を軽く押してベッドに押し倒し、身体の上に覆いかぶさって、胸に顔を埋める。そしてウエストコートを脱ぎ、白いシャツも脱ぎ捨てた。しこって硬くなった乳首を口に含み、舌で圧し潰すように舐めあげたり、吸い上げたり、甘噛みしたり、同時にもう一つの乳首を指でつまんで弄ぶ。甘い疼きに耐えるように、杏樹が顔をぶんぶんと振って、黒髪がシーツの上で乱れる。ひとしきり、執拗に胸への愛撫を繰り返し、桜井は唇を腹から臍へとずらしていく。ストッキングを引き下ろそうとして、興奮のあまり力加減を誤り、ピイーッとそれが破ける。 「ごめん、失敗した……破けてもうた」 「ん……だいじょうぶ……」  桜井がもどかしく両手を動かしてストッキングを取り去ると、それをベッドの下に投げ捨て、次に素早く下着に手をかけ、器用に足から抜き取ってしまう。そうして両方の細い足首を掴んで、ぐいっと大きく開脚させた。 「やぁ!……ね、それ、恥ずかしいから……」
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