21、羽田の別れ*

2/8
前へ
/337ページ
次へ
「な、なにそれ」 「……もしかして自慰も知らんの?」 「それくらい、知ってます! 知ってますけど! でも……」 「嫌?」  「……無理です。そんなの恥ずかしすぎて死ぬ……」  顔を背けた杏樹の、耳元で桜井が囁く。 「普段、一人でせぇへんの?」  「……あ、あんまり?……雅煕さんにしてもらった方が、気持ちいいし……」  「ほんま、杏樹、可愛いこと言うな」  桜井が喉の奥でくすっと笑い、「ちょっと待って、俺もズボン脱ぐ……皺になってしまう」と言い、トランクス一枚になる。呆然としている杏樹を抱き起し、背後から抱き込むように座らせた。      「なら、俺が教えてあげるから、やり方憶えて?」 「ええ?」      思わず肩越しに振り向いた杏樹の顔の、至近距離に桜井の整った顔がある。 「なんでそんな……」  「だって明日からはしてあげられへん」 「そ、そうだけど!」       杏樹が戸惑うのを他所に、桜井は杏樹の手を取って杏樹の脚の間に導き、耳元で命じた。 「左手の指でこうして、で、右手の……」 「ちょ……そんなこと、無理……んん」
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2331人が本棚に入れています
本棚に追加