21、羽田の別れ*

4/8
前へ
/337ページ
次へ
「杏樹……そんなエロい顔でイくんや……イく時、俺のこと思い出して。俺も、次から自分でするときは、杏樹の今の顔思い浮かべるから」  「あ……まさひろ、さん?……」   「ほんの時たまでいいから、俺のこと思い出して。忘れないで……」  杏樹が身体の向きを変えて、震える手で桜井の肩に縋りつくと、男は杏樹の頬に手を添えて唇と唇を合わせる。細い肩を抱き込み、さらに深く貪り、角度を変えて求めあって、息も絶え絶えになって離れれば、唇の間に唾液の橋がかかる。 「雅煕さん……お願い……あんなんじゃ、足りない……」 「ああ、俺も、杏樹が全部欲しい……チェストの引き出しに、ゴム入ってるから……」  杏樹が手を伸ばして引きだしから避妊具を取り出す間も、桜井は杏樹のあらゆる場所にキスを落としていく。 「雅煕さん、これ……」 「開けて……被せて」  桜井の要望に杏樹が息を飲む。一瞬ためらったが、封を切り、目のやり場に困りながら、おっかなびっくりゴムを被せていく。     「……これで、いいの?」       「ん。ありがとう。()れるで……」
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2331人が本棚に入れています
本棚に追加