22、祖父と祖母の因縁

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「あったあった! 助けた処女に連れられてラブホテルに来てみれば、ヤクザが出て来てこんにちは! 美人局(つつもたせ)でケツの毛までむしり取られて、鶴ならぬ『ツルッぱげの恩返し』」 「もう、茶化すんやったら俺、帰るで!」      ついに切れて帰ろうとする雅煕を、幸煕と礼二が必死に止める。 「すまんすまん、冗談や。弟の童貞喪失が嬉しすぎてつい――」  はあっとため息をつき、雅煕がハイチェアに座り直す。礼二が薄切りのハモンセラーノと、ブリーチーズの盛り合わせをテーブルに出す。 「しっかし、アイドルデビューしても不思議はないくらいの美少女で、さらに処女かー。男の夢やな」 「女優の喜多川マリの娘や言うてたで」  雅煕の言葉に、礼二が反応する。 「え、あの女優の? ああ、そう言えば聞いたことあるわ。映画監督と離婚して、生まれた娘は母親に押し付けて、アメリカにいるのよね」  さすが、礼二は客商売だけあって、芸能関係の情報には詳しかった。その情報に、幸煕が乗っかる。   「その母親……つまり、子供の祖母が、北川苑子(そのこ)。北川興産の先代社長の令嬢、現当主の姉や」
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