22、祖父と祖母の因縁

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「雅くんさあ……あの事件から以後、その変な眼鏡かけて認知に歪みが起きちゃってるのよ。自分をダサい男と思いこんじゃって」  「べ、べつに認知は歪んでへん。人をボケ老人みたいに言わんといて」   それから雅煕は兄に尋ねる。    「その……杏樹の家が北川興産やからってなんなん。というか、そんなん、いつ調べてん」 「大使館から電話かかってきた直後に調べさせたわ。すぐに親父に連絡して、おじい様にもお伺いをたててる」 「ちょっと待って。おじい様はともかく、親父まで知ってんの?」      目を剥く雅煕に、幸煕が呆れる。 「当たり前や。変な女に捕まってたら大事(オオゴト)やないか。……ついでにオカンも知ってんで。どうせお前みたいな甲斐性無しは、女の子をブランドショップに連れて行く知恵もないやろうからって、わざわざシャンゼリゼの本店に用事まで作ったんは、あの人のお節介や!」 「マジ?! オカン、朝の六時の、まだベッドん中にいる時間に電話してきよってんけど、もしかしてワザと?」    「ワザとに決まっとるわ!」
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