25、断れない縁談

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 勝之の話によれば、孫である御曹司は数年前に有賀電機の令嬢と婚約破棄に至った。令嬢の外祖父は現職大臣で首相の椅子も目前と言われていたが、突然、スキャンダルを暴かれてマスコミの大ネガティブキャンペーンの末に失脚、同時に和泉財閥のグループ企業が有賀電機の株を一斉に投げ売りして株価は大暴落、経営破綻寸前まで追い詰められたという―― 「え、それ御曹司のせいなんですか?」 「直接命令したかどうかはしらんが、タイミングがよすぎるし、まず間違いない」  婚約破棄したからって、相手の令嬢の家の会社を潰すってあんまりだ。そんなことが、この現代日本で本当に?  不信感が表情に現れてしまったのだろう、真一郎が杏樹に命令した。   「あの家に逆らって、この日本で商売などできん。いいか、杏樹! つべこべ言わずに嫁に行け! 北川の家を潰さないためには、それしかないんじゃ!」
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