27、追い詰められる

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「だいたい、姉さんが和泉家の御曹司から逃げたのが、ことの始まりなんだぞ? その上、妻子持ちのフランス人の画家と不倫して、子供作って帰ってきよって。どれだけ恥ずかしい思いをしたか! しかもその娘ときたら! 恥知らずにもポルノ女優になって、北川家の顔に泥を塗りおった!」 「ママはポルノ女優じゃありません!」 「裸で映画に出て、写真集まで売っておいて、何を言うか!」  杏樹が悔しさに唇を噛むが、大叔父の攻撃は終わらなった。 「その上また子供を作って、我が家に押し付けてアメリカに逃げよった。そのアバズレの娘が、天下の和泉財閥のお内儀になれる、何の不満がある! 今までウチに置いてもらった恩返しに、せいぜい、その唯一の取り柄の顔と胸で御曹司に媚びを売ってこい! お前の存在価値などそれだけだ!」     大叔父一家にお荷物扱いされているのは、薄々感じていた。だが、ここまであからさまに罵倒され、杏樹は愕然とする。  大きな目を見開いて、呆然と凍り付く杏樹の表情に、大叔父も失言を悟ったのか、乱暴に立ち上がると「話はそれだけだ」と言って応接間を出て行った。    
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