27、追い詰められる

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 そこへ、追い打ちをかけるように美奈子が入ってきた。   「なに、あんたお見合いするの?」 「……他に、漏らすなって言われているから」  辛うじてそれだけ言うと、美奈子は勝ち誇ったかのように、腕を組んで言った。 「和泉財閥の御曹司って、有賀電機の社長令嬢と婚約破棄したボンクラでしょ? あー、あんた、顔はともかく頭の悪いロリ巨乳でちょうどいいって、目をつけられたんじゃないの?」  「ええ? なんですって?」  美奈子の言うことが半分もわからず、杏樹は思わず聞き返す。 「ほら、うちの学校の先輩なのよ、有賀電機の……ええと、佐和子様だったかな。和泉のボンクラ御曹司と婚約させられた」 「……そうなの? 美奈ちゃんの先輩なの?」  祖母・苑子の強い意向で、杏樹は女子校に通ったが、美奈子は家からほど近い場所にある、小学校から併設された共学の私大を出ている。 「そうよ、ボンクラ御曹司、大学こそ東大だったけど、他はたいした取り柄もない男で、マザコンでインポだったらしいわよ。佐和子様、相当に我慢してたけど、耐えられなくてボンクラの親友と恋仲になったら婚約破棄されたのよね」
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