27、追い詰められる

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 自分の胸は、確かに少し大きめかもしれない。でも大叔父にまで胸をあげつらわれたのはショックだった。     ――そう言えば、雅煕も杏樹の胸に感動していたっけ。 『時たまでいいから、俺のこと思い出して。忘れないで――』  自室に一人きりになって、どうしょうもなく雅煕のことを思い出してしまい、涙が一気に溢れ出す。     嫌だ――お嫁に行きたくない。  見たこともない御曹司が嫌なんじゃない。マザコンもインポもこの際、どうでもいい。  わたしは、雅熙さんが好きなんだ。  彼以外の人と結婚するなんて、そんなの――   杏樹は無意識に左腕を探って、そこにはないを探していた。
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